インカコーラ味のアイス——ペルーの愛国心は凍っている 南米のアイス三部作
まず、インカコーラという飲み物について説明しておく必要がある。インカコーラは1935年、リマ建都400周年を記念してイギリス系移民のジョセフ・ロビンソン・リンドレーが作り出した炭酸飲料だ。ヒエルバルイサ(レモンバーベナ)をベースに13種類の植物由来の香料を配合した、黄金色の液体だ。
その味はバブルガムやクリームソーダに例えられることが多く、「強烈な色だけで初心者を追い払うのに十分」と評されたこともある。要するに、見た目は山吹色、味はバブルガムに近い、非常に甘い炭酸飲料だ。
コカコーラに勝った飲み物
1970年代にはペルー国内の炭酸飲料市場シェア38%に達し、すべての競合を抑えて「ペルーの飲み物(La Bebida del Perú)」の称号を獲得した。1995年、コカコーラがペルー国内シェア32%だったのに対し、インカコーラは32.9%だった。
世界でコカコーラを国内で負かした炭酸飲料は、極めて少ない。インカコーラはその数少ない例のひとつだ。「インカコーラを飲むことはペルー人の国民적義務だ」と本気で信じている人もいるほど、この飲み物はナショナリズムと結びついている。
アイスになった
2009年1月22日、インカコーラはペルーの老舗アイスブランド・ドノフリオ(ネスレ傘下)と提携し、インカコーラ味のアイスキャンディーを発売した。
「限定発売のはずだった」という声もあるが、結果的に定着した。10歳前後の子供たちの反応は真っ二つだった。「めちゃくちゃうまい!」「俺のお気に入り」という声がある一方で、「好きじゃなかった」という声も同じくらいあった。これは正直な反応だと思う。
様々な意見
インカコーラそのものの味に慣れていない人間がこのアイスを食べると、まず色に驚く。山吹色のアイスキャンディーだ。自然界にこの色の食べ物はあまりない。次に甘さに驚く。インカコーラはただでさえ甘い飲み物だが、それをアイスにするとさらに甘さが凝縮される。
「甘すぎる」という意見は多い。「色が不安」という意見もある。「飲み物をそのまま凍らせただけでは」という指摘もある。全部正しい。しかし、そういう評価軸で測ること自体が、この食べ物を理解していない、とペルーの人は思っている。
固定概念は通用しない
アイスクリームとは何か、という問いに対して、多くの人は「なめらかで、クリーミーで、複雑な風味があるもの」と答える。インカコーラのアイスは、そのどれでもない。甘くて、黄色くて、バブルガムの香りがして、子供たちが路上で食べるものだ。洗練されていない。複雑でもない。
しかしペルーの街角で、暑い午後に、インカコーラの旗が揺れているアイスカートの前に行列ができているのを見ると、話が変わる。これはアイスの評価ではなく、アイデンティティの話だ。
インカコーラはペルーの国民적誇りとナショナリズムの象徴だ。それが凍ったものを食べるということは、ペルー人にとって何か別のことを意味している。「うまいかどうか」という問いは、実はあまり本質的ではない。

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