青春には、都々逸が合う。
好きな人のことを誰かに話せない夜も、部活で悔しくて眠れない夜も、理由もなくなんかむしゃくしゃする夜も——26文字にしてしまえば、なぜかちょっと楽になる。
都々逸(どどいつ)は江戸時代の終わりごろに生まれた定型詩だ。俳句や短歌よりずっと「人肌」に近い。格式ばった言葉じゃなくていい。話し言葉で、ぼやきで、叫びで作っていい詩だ。
リズムの基本
7・7・7・5、全部で26文字。もう少し細かく言うと、「3・4」「4・3」「3・4」「5」のかたまりで読むと自然に流れる。
幕末の志士、高杉晋作の都々逸が有名だ。
三千世界の 鴉を殺し 主と朝寝が してみたい
「好きな人とずっと一緒にいたい」——それだけの気持ちを、世界中のカラスを全滅させてでも、とド派手に言い切っている。たった26文字でこの迫力。これが都々逸だ。
構造はフリとオチ
前半(7・7)が「フリ」、後半(7・5)が「オチ」。
漫才と同じ。前半で「え、どういうこと?」と引っ張って、後半でスパッと落とす。この構造さえ意識すれば、あとは中身を入れるだけだ。
ルールは3つだけ
ひとつ、2行目と4行目の文字数はきっちり守る。1行目と3行目は少し余ってもOK。
ふたつ、最後の5文字は言い切りで終える。「好きだった」「諦めない」「また明日」——こういう形がいい。途中で終わる形はNG。
みっつ、声に出して読んで気持ちよければ正解に近い。都々逸はもともと歌だ。目より耳で判断しよう。
最初の一句の作り方
まず「言いたいこと」を5文字に縮める。これが最後の行になる。
好きだった。諦めない。眠すぎる。全部5文字だ。
5文字が決まったら、残り21文字でそこへの道筋を作ればいい。
夜更かしして 動画を見ても 翌朝やっぱり 眠すぎる
テスト前夜に ゲームをやめて 勉強するのは 明日から
題材はなんでもいい
推しのこと、部活のこと、給食のこと、言えなかった一言。
青春の感情はそのまま都々逸の材料になる。うまく作ろうとしなくていい。まず声に出して、リズムに乗せてみる。それだけでいい。
高杉晋作だって、最初は誰かの真似から始めたはずだ。たぶん。

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