2026年5月– date –
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ペケ夫人
ペケ夫人「雑草に水を与えなさい。」
雑草に水を与えなさい。 それ以外の全てを、今は忘れなさい。アスファルトの裂け目から、誰に望まれることもなく首をもたげたその名もなき緑に、貴方の手元にある、その透明な液体を注ぐのです。 なぜ、と口を動かしてはなりません。意味を問うことは、貴... -
食
一枚の葉が、神の頭を飾り、石鹸になり、シチューに沈んだ
スーパーの香辛料コーナーに、地味な乾燥葉が売っている。ローリエ、またはローレル、またはベイリーフ。日本語では月桂樹の葉。シチューやカレーに一枚入れて、食べる前に取り出すだけの、それほど目立たないハーブだ。しかしこの葉には、神話から石鹸ま... -
エッセイ
スマートホームで自動化生活、過剰な最適化が奪うもの
都会の喧騒をサバイブするために、僕たちが手に入れたのは「自由」ではなく「自動」だったのかもしれない。 スマートホーム。その響きには、未来への淡い期待と、少しの怠惰が混じっている。 自宅を徹底的にハックし、ルーティンという名の重力から解放さ... -
テクノロジー
スマホの終わる日——時代がこけしに追いついた
スマートフォンは便利だ。異論はない。地図も、翻訳も、決済も、カメラも、一枚の板の中に収まっている。人類史上最も多機能な道具のひとつだ。しかしよく考えると、これはデバイスとして根本的におかしい。片手が塞がる。首が前に曲がる。目が画面に縛ら... -
スポーツ
新スポーツ「へちまチャンバラ」が熱い?
剣道がある。チャンバラがある。そして今、へちまチャンバラがある。 2024年に競技団体「日本へちまチャンバラ協会」が設立され、現在競技人口は着実に拡大中だ。注目すべきはそのルールの独自性と、競技開始までの長い長い助走にある。 まず、育てるとこ... -
テクノロジー
犯人は複合機だった。オフィスの重要付箋が「142分で消える」恐るべき物理学的トラップ
オフィスで不自然に消える「あの付箋」。 机の上が汚いからでも、部下がサボっているからでもなかった。犯人は、部屋の隅で静かに息を吐き出す、あの「複合機」である。 今回は、オフィスにはびこる「言った・言わない」の泥沼裁判を、高分子化学と流体力... -
テクノロジー
江戸時代のスマートスピーカー?「伝統こけし」が現代デザインの正解だった理由
頭が丸くて、胴が円柱。手も足もない。顔だけがある。 改めて見ると、こけしは現代のスマートスピーカーにそっくりだ。AmazonのEchoは円柱で顔がない。AppleのHomePodは丸い。GoogleのNestは楕円だ。みんなこけしの方向に進化している。先に正解を出してい... -
生活
【後編】爪には、霊が宿る
切った爪を、どこに捨てているか。洗面台に流す。ゴミ箱に捨てる。そのまま床に落として、あとで掃除機が吸う。大抵はそんなところだろう。爪の欠片に、特別な感情を持つ人は少ない。しかし世界には、切った爪をむやみに捨てることを恐れる文化が今も残っ... -
生活
【前編】爪切りはロマンだ
爪切りを、面倒な作業だと思っていないか。伸びたら切る。切ったら終わり。週に一度か二週に一度か、なんとなく気になったタイミングでパチンパチンとやって、洗面台に散らかった爪の欠片を流して終わり。そういう作業だと思っていないか。 違う。爪切りに... -
テクノロジー
「時間が無い!」「遅刻する!」そもそも時間って存在するのか?
「やってしまった、遅刻した」 会社への遅刻、あるいは大切な待ち合わせの数分。駅まで全速力で駆け抜ける道中、左手首の時計の針が、まるで情け容赦ない検察官のように正確にあなたの「罪」を数え上げてくる。あの無慈悲なチクタクという音に、胃をキリキ...