家の前の飲食店が激まず? 最高じゃないか
部屋探しをしていると、「周辺環境」はかなり重視される。 駅近。 スーパー徒歩1分。 飲食店多数。 24時間営業。 確かに便利だ。 だが、健康という視点で見ると、“便利すぎる環境”は長期的にかなり危険かもしれない。
特に現代は、「食べるまでの摩擦」が消えすぎている。 アプリを開く。 ボタンを押す。 30分後には高カロリー食品が到着する。 人類史で見ると、かなり異常な環境だ。 実際、運動不足と過剰摂取の組み合わせは、世界中で大きな健康問題になっている。WHOは身体活動不足を主要な健康リスクの一つとして挙げており、肥満、2型糖尿病、心血管疾患との関連も広く研究されている。
しかも怖いのは、「少しずつ進行する」ことだ。 1回のハンバーガーで人生は変わらない。 1回の深夜宅配ラーメンも問題ない。 問題は、それが“生活導線”に組み込まれることだ。
家の前にファストフード店がある。 疲れて帰宅する。 料理は面倒。 数分後には食べられる。 この環境、人間の意志力ではかなり厳しい。 実際、海外では「ファストフード店へのアクセスしやすさ」と肥満率、摂取カロリー、BMIなどの関連を調べた研究が多数ある。結果は地域差もあるが、「高カロリー食品へ簡単にアクセスできる環境ほど、食習慣へ影響しやすい」という傾向は繰り返し指摘されている。
だから極論、家から一番近い飲食店が激まずなのは、かなり良い。 深夜に「腹減ったな」と思っても、「あそこしかないのか……」となる。 すると人は、自炊を考え始める。 冷蔵庫を見る。 卵を焼く。 残り物を組み合わせる。 この“少し面倒”が重要なのだ。
しかも自炊は、単純に摂取カロリーを抑えやすい。 日本の研究でも、外食頻度が高い人ほど野菜摂取量が少なく、脂質・塩分過多になりやすい傾向が報告されている。もちろん例外はあるが、平均すると、自炊のほうが栄養バランスを調整しやすい。
あと、宅配。 便利である。 本当に便利。 雨の日も動かなくていい。 疲れていても届く。 文明としてはかなり優秀だ。
ただ、若いうちは“簡単すぎる食事”へ依存しないほうがいい気がしている。 理由は単純で、移動が消えるからだ。 コンビニへ行く。 スーパーへ行く。 それだけでも、人間は意外と歩く。 厚生労働省の健康づくり指針でも、日常生活の身体活動量を増やす重要性は繰り返し示されている。特別な運動だけではなく、「歩く」「階段を使う」などの積み重ねが、生活習慣病予防へ関係するとされている。 逆に、全部を宅配へ寄せると、“動かなくても成立する生活”が完成してしまう。 若いうちは、それでも身体が持つ。 問題は10年後だ。
なので、引っ越しの条件選びも少し変わってくる。 駅が遠い。 スーパーが少し遠い。 近所の飲食店が微妙。 コンビニがない。 普通なら「不便な物件」として避けられる。 だが見方を変えると、それは“身体を甘やかしにくい環境”でもある。
歩く理由が発生する。 まとめ買いする。 自炊する。 階段を上る。 生活そのものに、小さな運動と小さな節制が混ざる。
しかも、そういう物件は家賃が比較的安いことも多い。 人類は便利へ高い金を払う。 逆に言えば、“少し不便”には割安で住める可能性がある。
もちろん、高齢になれば話は別だ。 脚力が落ちる。 荷物が重くなる。 病院アクセスも重要になる。 その時は、便利な家が本当に価値を持つ。
だからこそ、若いうちくらいは、少し不便な家に住むのも悪くない。 今は敬遠される物件条件も、長い目で見れば、そのうち奪い合いになるのかもしれない。

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