高知市を走る「とさでん交通」には、三つの日本一がある。
現役路面電車で日本最古の歴史。軌道路線の全長が日本最長の25.3キロ。そして電停間の距離が最短の63メートル。 
日本で一番古く、日本で一番長く、日本で一番こまめに止まる。
そして、赤字だ。
最強の路面電車が、弱かった理由
かつては「バスの赤字を路面電車の黒字で補てんする」という構図が長年続いていた。 路面電車は、会社を支える柱だった。
それが2017年に赤字へ転落。コロナ禍の2021年度には赤字が2億円を突破した。 
現在は補助金約7億円でしのいで、会社全体としては黒字を確保している。 
路面電車は走っている。補助金で、走っている。
だから、乗りに行く価値がある
観光客が急増して地元の人が乗れなくなる街がある。京都のバスがそうだ。高知はまだそうなっていない。
市街地の均一区間は200円。 地元の人と同じ電車に、同じ料金で乗れる。それが今の高知だ。
この電車に乗ることが、そのまま高知への投票になる。
乗ったら、どこへ行くか
大橋通電停 → ひろめ市場
約60店舗がずらりと並ぶ屋内型飲食市場。高知グルメの代表格・カツオのたたきなど、食べたいものを選んでフードコートスタイルで味わえる。ローカルな雰囲気の中で、地元の人と肩を並べて食べる。 
蓮池町通電停 → 日曜市
300年以上前から続く街路市。最も大きな日曜市では全長約1キロの通りに約430軒もの露店がぎっしりと並ぶ。野菜、果物、お惣菜、スイーツ、金物、植木まで。売り子さんとの会話も旅の一部だ。 
はりまや橋電停 → ダイヤモンドクロッシング
はりまや橋交差点では路面電車同士の線路が直角に交わる「ダイヤモンドクロッシング」が見られる。全国唯一の光景だ。 電車を待ちながら、交差点を眺める。それだけで時間が過ぎる。
電車そのものが、見どころだ
車両はノルウェー・オスロ市電、オーストリア・グラーツ市電、ポルトガル市電など海外からやってきた電車が混在する。 何が来るかわからない。それが楽しい。
郊外の単線区間では、運転士同士がタブレットを手渡しで交換する光景が今も見られる。路面電車ではここ高知だけに残る方式だ。 
市内均一区間の一日乗車券は500円。全線乗り放題は1000円。 一日かけて乗り倒しても千円だ。
着地
高知県では路面電車を「電車」と呼び、JRを「汽車」と呼ぶ。
それだけ生活に近い。120年分の生活が、今も走っている。
乗ること、食べること、見ること。それが全部、この電車一本でつながっている。高知に行ったら、まず「とさでん」に乗ろう。それだけ覚えておけば、あとは電車が連れて行ってくれる。

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