パチパチするお菓子こそ、五感すべてを刺激するマインドフルネス食品である

現代人は疲れている。スマホ、通知、SNS、仕事。「おすすめされた動画」を見ていたら朝四時。脳は常に、うっすら燃えている。そんな時代に必要なのは、“今この瞬間”へ戻ることだという。つまりマインドフルネスである。呼吸に集中する。雑念を流す。瞑想する。しかし、本当にそれだけでいいのだろうか。

私は提案したい。パチパチするお菓子である。

口に入れた瞬間、始まる。パチ、パチパチ、ベチベチ。予想外の位置で爆ぜる微細な刺激。人はもう、未来の不安など考えていられない。「今、上あごで何か爆発した」脳が完全に現在へ引き戻される。これは極めて高度な精神集中状態だ。

まず聴覚、パチパチ鳴る。触覚、舌へ衝撃波が来る。味覚、だいたいソーダ味。嗅覚、駄菓子屋の記憶。視覚、袋の色が異様にカラフル。五感、全部である。

しかも重要なのは、“制御不能性”だ。普通のお菓子は予測できる。ポテチはサクサクするし、ガムは伸びる。だがパチパチ菓子だけは違う。「次、どこで爆発するかわからない」このランダム性が、人間を“今”へ固定する。禅僧が庭を見るように、現代人はソーダ味の爆薬を舌で受け止めるのである。

さらに優れているのは、価格だ。高級マインドフルネス体験、瞑想リトリート、森林浴プログラム……いろいろある。だが、パチパチ菓子は80円くらいだ。しかもコンビニで買える。悟りが駄菓子コーナーに置かれている国。日本はかなり特殊である。

もちろん欠点もある。静かな映画館では向かない。口の中だけ夏祭りになる。たまに歯へ直撃して「いま雷落ちた?」みたいになる。だが、それでいい。

本当のマインドフルネスとは、山奥で無になることではない。舌の上で起きる小規模爆発を、真正面から受け止める勇気なのだ。

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tokaijiruのアバター tokaijiru 都会汁代表

都会汁。私は、どこにでもいて、どこにもいない。長い年月を経て、ようやく見えてきた世界の裏側と新しい日常。ここは、私が拾い集めた断片を静かに吐き出す場所。通りすがりのあなたに、何が伝わるかはわからない。

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