台湾が世界を驚かせた場所——カバランウイスキー蒸留所

ウイスキーは寒い土地で作るものだ、というのが長らくの常識だった。スコットランド、アイルランド、日本の山間部。その常識に、台湾の宜蘭(ぎらん)が正面から挑戦した。

結果から言う。台湾は勝った。カバランは2017年にIWSCで世界年度蒸留所冠軍を受賞し、現在は世界十大蒸留所のひとつに数えられている。亜熱帯の夏は40℃近くになり、樽熟成がスコットランドの約3倍の速さで進む。その気候を逆手に取り、数年でスコッチの10年分の深みを出してしまう。世界の評論家たちが唸った理由はそこにある。

まず宜蘭駅へ

台北から特急(普悠瑪号・太魯閣号)で約50分、218元。週末は満席になりやすいので事前予約を推奨する。

宜蘭駅からは葛瑪蘭客運752番バスで金車酒廠駅下車。バスは本数が少ないので時刻表を事前確認すること。タクシーなら約250元・20分で、帰りにバスを使う組み合わせが楽だ。所在地は宜蘭縣員山鄉員山路二段326号。営業時間は平日9:00〜18:00、土日は19:00まで。

着いたら何がある

ヨーロッパ風の城館建築と落羽松の並木が出迎える。蒸留廠、試飲エリア、ショップ、2階のカフェで構成されており、ウイスキーに興味がない同行者でもカフェで時間を潰せる。

無料ガイドツアーが毎日実施されており、日本語は13時。会議中心に集合し、蒸留廠を歩いて、試飲エリアで終わる約60分のコースだ。橡木桶(オーク樽)が並ぶ酒庫をガラス越しに見たとき、漂ってくる酒香は相当なものがある。

試飲の正しい順番

試飲エリアでは通常品から蒸留所限定のシングルカスクまで多種類を試せる。飲む順番はまずストレートで香りと味を確認し、次にお湯割りで開かせ、最後にロック。冷やして飲むのは一番最後だ。これを逆にやると損をする。試してから買うボトルを決める、という順番が正しい。

酒廠限定のお土産

ここでしか買えないものが複数ある。スモーク風味とトロピカルフルーツが重なる「ピーテッドモルト カスクストレングス」、深みある琥珀色の「マデイラカスク カスクストレングス」、300mlで持ち帰りやすい「ラムカスク」あたりが定番だ。初めてで迷ったら、比較的廉価な「ディスティラリーセレクト」が入口になる。

時間と予算があれば、複数の原酒を自分で調合して300mlボトルに詰めるDIY体験も面白い。ラベルに署名できる。世界に一本だけの自分のカバランができる。


2026年3月から入場料制が導入されたが、料金は園内消費に全額充当できるため実質無料。訪問前に公式サイトで最新情報を確認しておくといい。

亜熱帯でウイスキーは作れない。その思い込みが間違いだったことを、宜蘭の田園地帯に建つ城館は静かに証明し続けている。

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tokaijiruのアバター tokaijiru 都会汁代表

都会汁。私は、どこにでもいて、どこにもいない。長い年月を経て、ようやく見えてきた世界の裏側と新しい日常。ここは、私が拾い集めた断片を静かに吐き出す場所。通りすがりのあなたに、何が伝わるかはわからない。

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