現代のドン・キホーテ——幼退症という病

彼らは今日も来る。開いた日傘を片手に、もう片手のスマートフォンに完全に没頭しながら、人混みの中を前進してくる。露先は他人の目の高さをふらふらと漂い、本人はそのことに一切気づいていない。

ラ・マンチャの騎士が風車に突進したように、彼らは己の使命に忠実だ。スクロール、タップ、スクロール。これを医学的に「幼退症」と呼ぶことを提案したい。

病態

衝動を抑制できない。画面から目を離せない。数分のスマホ我慢が効かない。これは成熟した大人の行動ではなく、ゲームを取り上げられた子どもの行動と構造的に同じだ。そしてその退行が、公道という他人の空間で発動する点が問題の核心にある。

本人に悪意はない。ドン・キホーテに悪意がなかったように。ただ、自分の世界に完全に入っている。

対応策

幼退症は本人の意志では治らない。したがって社会が対応するしかない。

まず保険適用での治療を検討すべきだ。専門外来を設け、画面から目を離す訓練を段階的に行う。重症例には歩行中のスマホ使用を補助する介護サービスの導入も視野に入れてよい。

街で幼退症の方を見かけたら、そっと道をあけてあげてほしい。「ああ、あの病気の人だ」と思えば、怒りではなく哀れみで接することができる。社会的コストは増えるが、これも福祉だ。


ドン・キホーテは最終的に正気を取り戻し、自分が何をしていたかを理解して死んだ。幼退症の皆さんにも、いつかその瞬間が来ることを願っている。

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この記事を書いた人

tokaijiruのアバター tokaijiru 都会汁代表

都会汁。私は、どこにでもいて、どこにもいない。長い年月を経て、ようやく見えてきた世界の裏側と新しい日常。ここは、私が拾い集めた断片を静かに吐き出す場所。通りすがりのあなたに、何が伝わるかはわからない。

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