Googleマップは、正直すごい。 「渋谷 ランチ 魚 あんまり混んでない」でちゃんと出てくる。誤字脱字も関係ない。「しぶや らんち さかな」でも「渋谷 ランチ 魚系」でも、意図を汲んで探してくる。ナビの精度も高く、渋滞を察知して別ルートを提示してくる。到着時間の予測がほぼ正確で、「あと何分」という数字を信頼して動ける。
旅行先でも威力を発揮する。海外の知らない街で、言語もわからない状態でも、Googleマップさえあれば目的地にたどり着ける。地図アプリひとつで旅のハードルが劇的に下がった。これは本当に便利だ。否定しない。
しかしGoogleは広告会社だ
Googleの本業は検索でも地図でもない。広告だ。 2023年のGoogleの売上の約77%は広告収入だった。検索、マップ、Gmail、YouTube、Androidスマートフォン——これらは全て、ユーザーのデータを集めるための装置でもある。どこに行ったか、何を検索したか、何を買おうとしているか、誰と連絡を取っているか。
その情報が広告に変わる。 昨日、新しい靴を検索した。今日、靴の広告が出てくる。来週旅行に行こうとしている。今週、その行き先のホテルの広告が出てくる。Googleは先回りして、あなたの欲しいものを知っている。便利さと引き換えに、何かを差し出している。それでいいのか、という問いがある。
オーガニックマップという選択肢
「Organic Maps」というアプリがある。 オープンストリートマップ(OSM)というボランティアベースの地図データを使った、無料のナビアプリだ。広告がない。アカウント登録が不要。位置情報の追跡をしない。地図データをあらかじめダウンロードして使うため、オフラインでも動く。
Googleマップのようなホスピタリティはない。「渋谷 ランチ 魚 あんまり混んでない」では探せない。曖昧な検索には応えてくれない。店名か住所か、はっきりした情報が必要だ。渋滞情報もリアルタイムではない。レビューも少ない。乗り換え案内も弱い。Googleに慣れた体には、最初は不便に感じる。
しかしこれは挑戦だ。 地図というのは本来、自分で読むものだった。目的地を自分で調べて、ルートを自分で考えて、知らない街を自分の判断で歩くものだった。Googleマップは最高に便利だが、その便利さが「自分で考える地図体験」を少しずつ奪っている側面もある。オーガニックマップは不便だ。しかしその不便さの中に、何かが戻ってくる感覚がある。
使い分けという現実解
正直に言うと、Googleマップを完全にやめるのは難しい。 日本国内の飲食店情報、リアルタイムの交通情報、乗り換え案内——これらはまだGoogleマップの方が圧倒的に強い。
現実的な使い分けはこうなる。日常の移動にはオーガニックマップ。どうしても必要なときだけGoogleマップ。旅行先では積極的にオーガニックマップに挑戦する。完全な脱Googleは目標ではなく、Googleへの依存度を下げることが目標だ。

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