カガティ・ティタウラ——ネパールの「梅干し」は、もっと複雑だった

袋を開けた瞬間、酸っぱい香りが来る。次に塩。そしてチリの気配。これはカガティ・ティタウラだ。カガティはネパール語でレモンのこと。ティタウラとは、ネパールの伝統的な乾燥フルーツ菓子の総称だ。

ティタウラとは何か

ティタウラは果物を乾燥させ、塩・砂糖・チリ・スパイスを混ぜて作るネパールの定番スナックだ。酸味・甘味・塩味・辛味が同時に来る複雑な味で、学校の売店から路上の屋台まで、あらゆる場所で売られている。

使う果物によって種類が変わる。ラプシ(ホッグプラム)、マンゴー、タマリンド、アムラ(インドグーズベリー)、そして今回のカガティ(レモン)など。

写真の袋の中の白っぽい塊は、乾燥レモンにチリパウダーをまぶしたものだ。見た目は地味だが、口に入れると多方向から攻撃が来る。

梅干しとの比較

梅干しとティタウラは、構造がよく似ている。どちらも果物を塩漬けにして乾燥させ、独特の酸味と塩味を持つ。どちらも「美味しい」より先に「効く」という感覚がある。どちらも食べ慣れた人間には懐かしく、初めての人間には少し覚悟が必要だ。

違いはチリだ。梅干しは辛くない。ティタウラはチリが入る。酸っぱさに辛さが重なるので、梅干しより攻撃性が高い。

もう一つの違いは甘さだ。梅干しは甘くないが、ティタウラには砂糖が入る。酸い・辛い・甘い・しょっぱいが全部同時に来るのがティタウラの特徴だ。

世界の似たお菓子

酸っぱ辛い系の乾燥フルーツ菓子は、アジアに広く存在する。中国の「話梅(ホワメイ)」、台湾の「李仔糕」、メキシコの「タマリンドキャンディ」、インドのアムチュール系スナック。どの国も、酸っぱさと塩気を組み合わせて「クセになる」味を作るという発想は共通している。

梅干しは、そのクラスターの中で最もシンプルな存在かもしれない。チリなし、甘みなし、酸っぱさと塩だけ。引き算の美学がある。

ただし、ひとつ許せないことがある

日本の干し梅に、合成甘味料が入っている商品が多い。健康的なイメージの食品に、安全性について議論が続く合成甘味料を混ぜ込む。梅と塩だけで成立してきた食品に、なぜそれが必要なのか。

ティタウラの原材料を見てほしい。レモン、ヒング、塩、砂糖、チリ。それだけだ。ヒマラヤの麓の小さな菓子屋が作る素朴な一袋に、余計なものは何も入っていない。

昔ながらの製法で、素朴に残っていく。それだけでいい。それがこういった食品に求められることだ。合成甘味料で甘さを底上げした干し梅より、塩と梅だけの干し梅こそ求められているのではないか。

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この記事を書いた人

tokaijiruのアバター tokaijiru 都会汁代表

都会汁。私は、どこにでもいて、どこにもいない。長い年月を経て、ようやく見えてきた世界の裏側と新しい日常。ここは、私が拾い集めた断片を静かに吐き出す場所。通りすがりのあなたに、何が伝わるかはわからない。

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