砂漠と聞いて何を思い浮かべるか。
砂だらけの大地、照りつける太陽、ラクダ、サボテン。おそらくそういう絵が浮かぶはずだ。しかしその全部が、砂漠の定義とは無関係だ。
砂漠の正体 砂漠の定義は「年間降雨量が250mm以下の地域」または「降雨量よりも蒸発量の方が多い地域」だ。砂の量も、気温も、ラクダの有無も、定義には含まれない。
つまり砂漠かどうかは、砂があるかどうかではなく、水があるかどうかで決まる。
世界最大の砂漠は南極にある 砂漠の定義に当てはめると、世界最大の砂漠は南極大陸だ。その面積は約1382万平方キロメートル。サハラ砂漠の約910万平方キロメートルを大きく上回る。
南極内陸部の年間降水量は約50mm程度で、サハラ砂漠とほぼ同じだ。このため南極は「白い砂漠」とも呼ばれている。ちなみに日本の年間降水量は約1700mmだ。
凍った大地、雪に覆われた極点、そこが地球最大の砂漠だ。砂漠のイメージは完全に裏切られる。
砂漠にはいくつも種類がある 砂漠は素材や粒の大きさで分類される。極地砂漠、塩砂漠、岩石砂漠、礫砂漠、砂砂漠、土砂漠。いわゆる「砂丘のある砂漠」のイメージは、このうち砂砂漠だけだ。
サハラ砂漠でさえ、全体が砂で覆われているわけではない。岩石が広がるエリアや礫だらけのエリアが大部分を占めている。砂の丘が続く絶景は、サハラの一部に過ぎない。
鳥取砂丘が砂漠と呼ばれないわけ 鳥取砂丘は一面の砂地が広がり、夏には灼熱の地表温度になる。砂漠に見える。しかし砂漠ではない。
鳥取には一年間に2000mm以上の雨が降る。砂漠の定義である250mm以下には程遠い。
砂丘ができた理由は降水量ではなく「川」と「風」だ。千代川が中国山地の砂を日本海に運び、季節風がその砂を海岸に積み上げた。砂が常に動いているため植物が根を張れないだけで、掘れば湿った砂が出てくる。
砂漠は気候の話で、砂丘は地形の話だ。この二つは根本的に別のものだ。
東京砂漠とは何か 1970年代のヒット曲に「東京砂漠」という言葉がある。
もちろん東京は砂漠ではない。東京の年間降水量は約1500mmで、砂漠の定義から大きくかけ離れている。
東京砂漠とは気象の話ではなく、心の話だ。人が密集しているのに誰も繋がらない、都市の孤独を砂漠に喩えた表現だ。砂漠のイメージ——広大で、乾いていて、生き物が寄り付かない——を借りて、人間関係の乾燥を語った言葉だ。
砂漠という言葉は、定義を離れて、孤独の比喩として生き続けている。

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