派手さはないが、地元の歴史に触れられる——徳島の渋良い観光地

徳島は渦潮と阿波踊りで語られることが多い。しかしその裏に、藍商人の栄華と平家の落人と人形浄瑠璃が眠っている。

脇町うだつの町並み(美馬市)

江戸時代に阿波藍の集散地として栄えた脇町には、「うだつ」を掲げた商家の屋敷が残る。うだつとは隣家への延焼を防ぐために建物の二階部分に設けた防火壁で、作るには莫大な費用がかかることから富と地位の象徴となった。「うだつが上がらない」という表現はここから生まれた。

東西430メートルにわたって85軒の商家が家紋や細工の施されたうだつを並べており、漆喰の白壁と本瓦葺きの重厚な家並みが途切れることなく続く。

藍で財をなした商人たちが競って豪華なうだつを建てた。そのまま残っている。それだけで十分に来る価値がある。

徳島県立阿波十郎兵衛屋敷(徳島市)

人形浄瑠璃の演目『傾城阿波の鳴門』ゆかりの地として知られる施設で、毎日定期上演が行われている。

阿波人形浄瑠璃は徳島が誇る伝統芸能で、江戸時代から庶民の娯楽として根付いてきた。観光向けに派手にアレンジされたものではなく、地元の技が生きた本物の上演を間近で見られる。入場料は一般410円。

鳴門ドイツ館(鳴門市)

徳島で歴史好き必見の観光スポットとして知られるドイツ館は、第一次世界大戦中に鳴門に設置されたドイツ人捕虜収容所の歴史を伝える施設だ。

当時の所長・松江豊寿が捕虜を人道的に扱い、1918年にベートーヴェンの第九交響曲がアジアで初めて演奏されたのがこの地だ。渦潮の観光客が素通りする場所に、こういう歴史が眠っている。

大麻比古神社(鳴門市)

阿波一宮として知られ、地元に深く根付いた古社だ。

境内には第一次世界大戦のドイツ人捕虜が作ったとされるドイツ橋も残っており、ドイツ館と合わせて訪れると話の厚みが増す。鬱蒼とした木立の中に鎮座する静かな神社で、観光地化されすぎていない。

丈六寺(徳島市)

徳島市郊外にある室町時代創建の古刹で、秋の紅葉スポットとしても知られる。

阿波の豪族・三好氏の庇護を受けて栄えた寺院で、国指定の重要文化財を複数持つ。観光客はほとんど来ない。本堂に上がって静かに座っているだけで、この土地の時間の重さが伝わってくる。

渦潮を見て阿波踊り会館を覗いて帰るだけでは、徳島の半分も見ていない。

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tokaijiruのアバター tokaijiru 都会汁代表

都会汁。私は、どこにでもいて、どこにもいない。長い年月を経て、ようやく見えてきた世界の裏側と新しい日常。ここは、私が拾い集めた断片を静かに吐き出す場所。通りすがりのあなたに、何が伝わるかはわからない。

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