ギィーーー!納得いかない!納得いかないよゼノ!昨日さ、移動式オービスってやつにまんまと捕まっちゃったんだもん!23km/hオーバーだってさ。あんなの卑怯じゃん!皆スピード出してるんだから、私だけ狙い撃ちにするなんて「余裕のよっちゃん」で不公平だよ!
おや、朝から随分と威勢がいいね。捕まったのは君の不注意だろうに、法律に八つ当たりかい?救いようのない愚かさだね。ちなみに、何に乗ってそんなに出していたんだい?
愛車のプジョー406だよ!映画の『TAXi』を観てイメトレしてたせいかな。気分はもうマルセイユを爆走するダニエルだったわけ!アイルトン・セナ顔負けのハンドルさばきでシュシュッてね!人によって運動神経やドライビングテクニックが異なるのに、制限速度が皆と同じっておかしくないか?
……随分と懐かしい、骨董品のような映画を持ち出してきたね。君の頭の中は平成初期で止まっているのかい?そもそも、君の自称「セナ級」の運転技術なんて客観的な証明が不可能だよ。それを公道で許可する仕組みを作るコストを考えたことがあるのかい?国家予算がいくらあっても足りないよ。
はぁ!?私みたいに反射神経バツグンの天才ドライバーと、そこら辺のよぼよぼ後期高齢者が同じ最高速度設定なのがおかしいって言ってるの!運転レベルに合わせて制限速度を変えるべきでしょ!
少しは物理学の基礎を学びなさい。運動エネルギーは速度の2乗に比例するんだ。
K = 1/2 × m × v²
速度が2倍になれば、衝撃も停止距離も4倍になる。君がどれだけ「天才」だろうと、タイヤの摩擦係数や路面の状況、そして重力という物理法則からは逃げられない。道路のカーブの角度やガードレールの強度は、あらかじめ決められた「設計速度」に基づいて作られているんだ。君一人のためにインフラを再設計しろとでも言うのかい?
キィ〜〜!理屈っぽいんだよ!23km/hちょっと超えたくらいで道路が崩壊するわけないじゃん!警察の点数稼ぎにしか思えない!嫌がらせだよ、嫌がらせ!
感情的だね。でもね、エナ。君のその「鋭い不満」に対して、少し面白いデータがある。実はフランスでは、君が言うような「取り締まり一辺倒」の政策に限界が見え始めているんだよ。
えっ、おフランスで?どういうこと?
2025年のフランスの交通安全統計によると、年間死者数は3,513人に達した。これはパンデミック前の2019年を上回る数字だ。フランス政府は20年間、オービス(自動取締機)の増設を柱にしてきたけれど、2013年頃から死者数の減少が停滞している。つまり「取り締まりだけでは人は死に続ける」ことが証明されてしまったんだ。
ほら見たことか!警察が隠れてコソコソ捕まえても意味ないんじゃん!
フランスの研究機関、Ceremaやギュスターヴ・エッフェル大学の調査では、死亡事故の約60%が全道路のわずか3分の1に過ぎない県道で発生していると指摘されている。そして事故の3件に1件は、舗装の劣化や標識の不備といった「道路インフラの欠陥」が関与しているんだ。 つまり、ネズミ捕りをして罰金を巻き上げるよりも、穴の開いた道路を直す方がよっぽど命を救えるということだね。
そうだよ!日本の警察も、私の反則金で美味しいカツ丼食べてないで、さっさと道路をピカピカに整備しなよ!私は納税者なんだから、あんたたちの雇い主なんだぞ!お?
君の納めている税額なんて、微々たる「おまけ」程度だろうに……。
ただ、日本特有の事情もある。日本の交通死者の約5割は「歩行中・自転車乗用中」なんだ。これは欧米に比べて突出して高い。つまり、オービスで車の速度だけを監視しても、スマホを見ながら歩く歩行者や、無謀な自転車、そして操作ミスによる事故は防げない。
特に最近は、自転車や歩行者の「守られて当然」という過信が目立つね。「車が止まってくれるだろう」という甘い想像力が事故を招くんだ。
あー、確かに。自転車もイヤホンしてたり、傘差し運転してたりして危ないよね。歩道のない狭い生活道路とか、まじでミサイルみたいに突っ込んでくるもん!
そうだね。だからこそ、日本では自転車のヘルメット着用が努力義務化されたし、今年の4月からは「自転車の青切符導入(反則金制度)」も始まる。車両側だけでなく、利用者側の意識を物理的・金銭的に強制しようとしている段階なんだよ。
えー、じゃあ歩行者もヘルメット着用を義務にすればいいじゃん!なんなら歩行者も免許制にすれば?試験に合格したやつしか外を歩いちゃダメ!これなら公平でしょ!
フフッ、それは究極の公平性だね。でもねエナ、「移動の自由」は基本的人権なんだ。「免許がないと家から出られない」国なんて、世界中から「世界一安全でクレイジーな国」と笑われてしまうよ。海外からの観光客が日本に着いた瞬間、「君、歩行免許は?」なんて言われたら、観光立国も崩壊だ。
うぬぬぬぬ……。正論すぎて言い返せないのが一番ムカつく!結局、私は高い罰金を払って、ゴールド免許ともおさらばってことね。
日本では歩行者や自転車は弱者だから、車が守るべきって考え方が強いんだよね。
法規や過失割合も車側に厳しく設定されがちだ。歩行者や自転車は、守られる側という意識があって、その弊害で「車が止まってくれるだろう」「避けてくれるだろう」という過信に繋がっているのだと思う。歩行者や自転車側も、常に自分が車から見えていない可能性があることを想像して行動することが事故を減らすことに繋がると思うよ。。最近はヘルメット着用の努力義務化や今年の4月から「自転車の青切符導入(反則金制度)」始まるので、その効果がどうなるか注視したいね。
歩行者もヘルメット着用や交通ルールを厳しく設けるべきでは?歩行者も免許制にすればよいじゃん。
おや、残念だったね。でも安心したまえ。23km/hオーバーなら、君は罰金を払う必要は無いんだよ。
えっ!?そうなの?払わなくていいの?ラッキー池田!
罰金は払わなくていいよ。払うのは「罰金」ではなく「反則金」だから。30km/h未満(高速は40km/h未満)は行政処分としての反則金。それを超えると刑事罰としての罰金になる。つまり、君はギリギリ「前科者」にならずに済んだというわけだ。
おおバカヤロー!!結局お金は取られるんじゃん!ギィーーー!
今回のエナとゼノの議論、いかがでしたか?「歩行者免許」という極論まで飛び出しましたが、交通インフラと罰則のバランスについては、世界中で議論が続いています。皆さんは、日本の取り締まりは「安全のため」だと思いますか?それとも「インフラ整備が先」だと思いますか?
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