増加するタンパク質需要
今、日本はホルムズ海峡の実質的な閉鎖の影響を受けて、原油等の資源調達が困難になりつつあります。
現時点ではこの問題がどれくらい長引くのかは分かりませんが、長期的な視点で見ると、日本はもっと大きな問題を抱えている可能性があります。
それはエネルギーやレアメタル等の問題ではなく、我々が健康的に生きていく上で欠かすことができない良質なタンパク質です。世界の人口増がに伴い、良質なタンパク質への需要も高まりを見せています。
既に日本はエネルギー価格の高騰に続き、高品質なタンパク質でも世界的に買い負けし始めています。単なる節約術ではなく、グローバルな需給バランスの変化(エビデンス)を知ることで、5年後・10年後に後悔しないための食習慣と資産防衛の視点が必要なのです。
家禽類(鶏肉)の需要増加
FAO(国際連合食糧農業機関)の資料によりますと、家禽肉(鶏肉など)は今後10年間で世界の食肉生産および消費の成長を牽引する主要な要因になると予測されています。
家禽類が世界の食肉消費の半分を占める
2030年までに家禽肉は世界の食肉消費量の増加分の約半分(50%)を占めると予測されています 。これは、豚肉(消費増加分の28%)、牛肉(17%)、羊肉(5%)といった他の食肉を大きく上回る数値です。
なぜ家禽肉が選ばれるのか?
家禽肉の消費がこれほどまでに伸びる理由は主に次の3点です。
- 低価格
他の食肉と比べ、家禽肉は生産コストが低く、消費者にとって購入しやすい。 - 健康意識の高まり
白身肉である家禽肉は、牛肉や豚肉のような赤身肉よりも健康に良いという認識が消費者の間で広がっている。 - 宗教や文化的適合性
豚肉や牛肉のように、宗教的な制限を受けることが少ない。
タンパク質フライト
昔は水産物等は高くても「日本が買ってくれる」と真っ先に日本へ運ばれてきました。しかし近年、日本は資源や食料、原材料等で「買い負け」しています。
豊かで購買力が高い国だった日本が円安や新興国の経済成長の影響により、国際市場で食料を確保できなくなる懸念が高まっています。
そして、世界的に今品質なタンパク質需要が高まることで、日本からタンパク質フライト(タンパク質の流出・逃避)が起こる可能性が高くなってきました。今までタンパク質と言えば豆を食べていた新興国の人たちが、経済成長で豊かになると肉や魚を求めるようになりました。勿論豆も優秀なタンパク源ですが、肉や魚は必須アミノ酸がバランス良く含まれていて、吸収率も高いのです。
だったらプロテインだ!
「肉や魚が高くなって買えなくなったらプロテイン(粉末サプリメント)で補えば良い!」
と思うかもしれませんが、残念ながらそのプロテイン(粉末サプリメント)にも、タンパク質フライトのの影が忍び寄っています。
プロテイン(粉末サプリメント)は主に2種類あります。ホエイプロテインとソイプロテインです。日本の酪農は毎日飲む生乳(飲用乳)がメインです。チーズなどの加工品も作っていますが、欧米に比べると規模が圧倒的に小さいので、プロテインの原料となるホエイが国内では十分に発生しません。
ホエイプロテインの 原料は「乳清」。乳清は牛乳からチーズを作る際に出る副産物。主にアメリカやニュージーランド、欧州からの輸入に依存しています。ソイプロテイン: 原料は「大豆」。日本の大豆自給率は極めて低いです。
つまり、肉や魚が買い負けで高騰する局面では、プロテインの価格も同じように(あるいはそれ以上に)跳ね上がる可能性が高いのです。実際、ここ数年でプロテインの価格は円安と原料高で1.5〜2倍近くに上昇してますからね。
今後日本がインフレで家計が圧迫されると、日本国民は牛肉から鶏肉へ、生魚から加工肉(ソーセージ等)へと、より安価なタンパク質源へと選択肢を移動させざるを得ません。
老化防止やメンタルヘルスでも不可欠なタンパク質
近年の研究では、高齢者のフレイル(虚弱)だけでなく、若年層のメンタル不調も「アミノ酸バランスの崩れ」が引き金になることが示唆されています。安価な炭水化物(パン、麺)で空腹を満たし、質の悪い脂質と添加物の多い加工タンパク質で妥協する生活が続くと、日本全体の生産性と幸福度が沈んでしまいます。日本国民の全階層にとって、タンパク質は単なる栄養素ではなく、老化防止やメンタルヘルスの生命線と言えますね。
ではどうすればよいか?
1.アミノ酸スコアのポートフォリオを組み替える
肉や魚の価格が高騰するなら、安価な植物性タンパク質と少量の動物性タンパク質を組み合わせて最適化しましょう。
納豆ご飯や豆腐の味噌汁を副菜ではなく、肉に代わるメインのタンパク源と再定義する。
肉の量を減らしたメニューなら、「卵」というアミノ酸スコア100のタンパク質で補う。
こうやってアミノ酸バランスを維持するのです。
2.未利用資源(マイナー・プロテイン)へのシフト
世界中のバイヤーが買い漁るマグロ、サーモン、牛肉等は避け、争奪戦にならない肉や魚を狙う。とは言え、まだジビエや昆虫食は割高になるケースが多く、開拓が必要かも?虫を食べることは避けたいと思う人がほとんどだと思いますが、いざという時に備えて少しずつ慣れておいたほうが良いかもしれません。
3.培養肉・精密発酵へのリテラシー
近い将来、本物の肉よりも「ラボで作られた肉」の方が安く、栄養価が高くなる逆転現象が起こると言われています。「人工物は嫌だ!」という感情的な抵抗を捨て、最新の精密発酵(微生物に特定のタンパク質を作らせる技術)で作られたプロテインなどの新素材を、賢く生活に取り入れる準備をしておくと良いでしょう。
世界の需給バランスが変わる中、あなたは「従来の食習慣」にしがみつきますか?それとも、最新のテクノロジーや代替資源を賢く取り入れる準備を始めますか?

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