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男はつらいよ全シリーズの浪曲化に挑む、鬼才・玉川太福の軌跡を見逃すな

浪曲を知っているだろうか?知らなくていい。しかし玉川太福(たまがわだいふく)という名前は、覚えておいたほうがいい。

浪曲は明治時代に生まれた話芸だ。落語、講談と並ぶ「日本三大話芸」のひとつだが、テレビの登場とともに衰退し、長らく「高齢者のもの」として語られてきた。その固定観念を壊しつつある男が、玉川太福だ。

ダウンタウンに憧れて上京した青年が、浪曲のジェットコースターのようなダイナミックな表現に「頭の芯から心の真ん中まで貫かれた」と入門を決意。しかし入門からわずか3ヶ月で師匠が不慮の事故で他界。それでも浪曲師を続けることを決意し、修行を続けた。その後、彼が生み出した代名詞が「地べたの二人」シリーズだ。50代のサイトウさんと30代のカナイくん。おかず交換、湯船、道案内、配線ほどき——題材はどこまでも地味だ。しかしその地味さの中に、人間がいる。なぜか爆笑が止まらない。

ソーゾーシー、という存在も知っておいてほしい。2017年に結成された創作話芸ユニット。春風亭昇々、瀧川鯉八、立川吉笑の落語家3人と、浪曲師・玉川太福という異色の組み合わせだ。ユニット名「ソーゾーシー」には「騒々しい」「創造」「想像」の意味が込められている。キャッチコピーは「新作こそがスタンダード!」。毎公演で新たなネタを創作し続け、全国ツアーを展開している。古典の世界では「新作は邪道」という空気がまだ残る中、それを真正面から塗り替えようとしているユニットだ。

そして2017年から始まったのが、あの挑戦だ。山田洋次監督、松竹株式会社の許諾を得て「男はつらいよ」シリーズの全作浪曲化に挑戦している。全作。48作だ。寅さんが浪花節で唸られる。考えただけで何かがおかしい。しかし何かが正しい気もする。寅さんはそもそも啖呵売の男だ。言葉で人の心を動かすテキ屋だ。浪曲との相性が悪いはずがない。

2023年には「男はつらいよ第二十作 寅次郎頑張れ!」で彩の国落語大賞特別賞を受賞した。そして2025年。新宿末廣亭1月下席にて、浪曲師として60数年ぶりの主任(トリ)をつとめ、10日間大入満員という歴史的な興行となった。「高齢者のもの」と言われた浪曲が、新宿の寄席を満員にした。

どこで見られるか。浪曲定席は浅草・木馬亭(毎月1日〜7日開催)。太福は毎月出演している。落語の寄席——新宿末廣亭、浅草演芸ホール、池袋演芸場にも出演中。ソーゾーシーの全国ツアーは公式サイトとSNSで随時告知されている。

公式サイト:https://tamagawadaifuku.tokyo/

玉川太福の「男はつらいよ」全作浪曲化が完結する日を、我々は追い続けたい。

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tokaijiruのアバター tokaijiru 都会汁代表

都会汁。私は、どこにでもいて、どこにもいない。長い年月を経て、ようやく見えてきた世界の裏側と新しい日常。ここは、私が拾い集めた断片を静かに吐き出す場所。通りすがりのあなたに、何が伝わるかはわからない。

Tokaijiru.
I am everywhere, yet I am nowhere.After all these years, I have finally begun to see the hidden side of this world and the dawn of a new reality.This is a quiet space where I release the fragments I’ve gathered along the way.What these echoes mean to a passerby like you, I cannot say.

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