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我々が考える次に来るバズりスイーツはこれだ

奄美群島、徳之島産の良質なサトウキビから作られた極上の黒砂糖を、直火で練り上げ、独特の風味を残しながらやさしい甘さに仕上げた……いったいこれはなんのスイーツだろうか。

マリトッツォではない。バスクチーズケーキでもない。ドゥーブルフロマージュでも、クロワッサンたい焼きでもない。

ここ数年、スイーツの世界は目まぐるしかった。タピオカが街を制圧し、マリトッツォがインスタを埋め尽くし、ピスタチオクリームがあらゆるものに塗りたくられた。2025年は「もっちゅりん」が行列を生み、ドバイチョコがエスエヌエスを席巻し、マーラータンがスイーツとグルメの境界線を曖昧にした。 中東発のバクラヴァ、ネパール発のセルロティ、フランス菓子のフランまで、海外のスイーツが次々と日本に上陸し、若者の胃袋を奪っていった。そして2026年、次に来ると予測されているのは「フルーツそっくりスイーツ」や東南アジア発の「サゴ」だという。

だが、我々が考える「次に来るバズりスイーツ」はこれだ。……と思ったが、もう少しこの「バズ確定スイーツ」に関して情報を共有しておきたい。

まず歴史から入る。このスイーツを作るメーカーは1877年、明治10年の創業だ。戦国時代でも江戸時代でもない。明治である。西郷隆盛が西南戦争で散った年に、この飴は産声をあげた。以来150年近く、製法を変えず、素材を変えず、ただ黒砂糖を練り続けてきた。着色料も香料も使わない。それがこのスイーツの流儀だ。

次に健康面だ。昨今のスイーツトレンドは「罪悪感の少なさ」を競っている。グリークヨーグルト、アサイーボウル、トウファ……どれも「体にいい」という文脈で売れた。黒砂糖は天然のミネラルやビタミンが豊富で、健康にうれしいアルカリ食品としても注目されている。つまりこのスイーツ、トレンドの文脈に乗る資格を十分に持っている。しかも150年の実績つきで。

そしてシーエムの話をしなければならない。昭和47年から昭和58年頃まで放映されたそのシーエムは、元気なおばあちゃんと黒人男性がゴーゴーを踊るという強烈な映像で、「へいへ〜い!」「オー!黒あめ那智黒!」というセリフとともに関西では伝説的な知名度を誇る。黒人男性を演じたのはチコ・ローランドという俳優で、1960年代から70年代に日本映画やドラマで活躍した人物だ。おばあちゃんが誰なのかは、今もって不明である。なぜゴーゴーなのかも、不明である。しかしそのシーエムを見た人間は、那智黒を忘れない。これが那智黒の底力だ。

そしてこの飴の形は、熊野の名産である那智黒石……碁石に使われるあの漆黒の石……をかたどっている。黒い。とにかく黒い。インスタ映えとは正反対の見た目だ。しかしそれがいい。映えを追いかけることに疲れた現代人が、ふと手を伸ばしたくなる、そういう黒さだ。

味は、言うまでもない。黒砂糖の深いコク、鼻に抜ける素朴な甘さ、じわじわと溶けていく余韻。初めて口にする人でも、なぜか懐かしさを感じるだろう。それはこの飴が、日本人の記憶の奥底に眠る「甘さの原型」に限りなく近いからだ。おばあちゃんの家の引き出しの中、お寺の参道の土産物屋、昭和のテレビの向こう……そういう場所に、この飴はずっといた。

さて、そろそろこのバズ確定スイーツの名前をお伝えしようと思う。

しかし名前を明かしてしまうと、あっという間に売り切れて買えなくなる。私はそれに耐えられない。なので、名前はやめておきます。興味を持った方は熊野古道を歩いて、直接探してみてください。きっと素晴らしい出会いがあるはずです。

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