人類が直面する「エネルギーの壁」
洗濯を選択しなければならない。 人類は今、エネルギーの壁にぶつかっている。再生可能エネルギーへの転換、EVシフト、AIデータセンターの爆発的な電力需要——あらゆる場面で「どこから電気を持ってくるか」が問われている時代だ。核融合はまだ夢の中にある。太陽光パネルは曇りの日に黙り込む。風力タービンは凪いだ海の前では無力だ。では、電力をどこで削るか。
フェルミ推定で見る「10億台の洗濯機」が放つ数字
ここで少し計算してみたい。フェルミ推定——正確なデータがなくても、手持ちの数字を積み上げて大まかな実態に迫る推定手法だ。まず世界人口は約80億人。1世帯あたりの平均人数を約3.5人と見積もると、世帯数は約23億になる。そのうち洗濯機の普及率を世界平均で約45%と仮定すると、地球上には約10億台の洗濯機が存在する計算だ。
1台あたり週3回稼働として年間150回、1回あたりの消費電力を0.5kWhとすれば——これをもとに計算すると、世界全体で年間約750億kWh。日本の総発電量が約1兆kWhだから、洗濯機だけで日本の発電量の7〜8%に相当する電力が、毎年衣類を回すためだけに消費されている。数字を並べてみると、わかることがある。問題は「どこかの巨大工場」や「誰かの贅沢」ではなく、10億台の洗濯機が毎日静かに、あたりまえのように回り続けていることの総体なのだ。
究極のソリューション「タライ」という選択
では、解決策は何か。原発か。水素か。スマートグリッドか。 いや。タライだ。
笑わないでほしい。タライと洗濯板による手洗いは、電力消費ゼロ、使用水量は洗濯機の数分の一、初期コストは数百円から、汚れ落ちは洗濯機を凌駕する場面すらある。
「不便」を「全身トレーニング」に変える発想
「不便だ」という声が聞こえる。そうだ、不便だ。しかしタライ手洗いには、世間がまだ気づいていない最大のメリットがある。筋トレしながら洗濯ができることだ。
洗濯板でゴシゴシこする動作は、前腕の屈筋群と手根屈筋を集中的に使う。もみ洗いは指の内在筋を鍛える。水が入ったタライを運ぶ動作は、体幹と僧帽筋への負荷になる。しゃがんで作業すれば大腿四頭筋とハムストリングスにも効く。これはもはや洗濯ではなく、全身を使う機能的トレーニングだ。一方、洗濯機はボタンを押すだけだ。指一本で完結する。これでは筋肉はしわしわに萎んでいくだろう。
進化するデザインと実用性
またタライはダサいというイメージがあるかもしれないが、それは昭和のトタン製タライの記憶だ。今の時代、タライは進化している。
ドイツ・ベルリンのコインランドリーオーナー、フレディ・レックが手がける「Freddy Leck」のウォッシュタブは、白を基調とした清潔感のあるデザインとポップなロゴが印象的で、北欧雑貨店でも定番の人気商品だ。野田琺瑯と日用品ブランド「にちにち道具」がコラボレーションしたホーロー製のたらいは、グレーのフチがアクセントのミニマルなデザインで、直火での煮沸消毒まで可能という実用性も兼ね備えている。アメリカン雑貨ブランド「MERCURY(マーキュリー)」のブリキタブは、レッドやイエローなどカラフルなラインナップで、インテリアとして飾っても成立するほどの存在感がある。
賢い「センタク」が未来を変える
一般的なプラスチック製タライなら1,000円前後から手に入る。洗濯板はダイソーやセリアなどの100均でも取り扱いがある(ただし店舗によって在庫状況は異なる)。電気も要らない。そして何より、自分の手で洗った服は、なぜかほんの少し、清潔な気がする。
さて、最後に問いたい。世界のエネルギー問題を解決するために、失敗すれば人類を滅ぼしかねない核融合炉を選ぶか、最後はよく考えてセンタクしてほしい。答えは明白だ。

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